リアルハードロマンチッカー参
〜リアルハードロマンチッカー弐からの続き
彼とハチャメチャに遊び倒す毎日を送るうちに私の感覚も麻痺していった。
宵越しの金を持たない豪快な金遣いも
中卒のくせにやたら法律に精通している事も
軽のレンタカーでフルスモークのベンツなどのイカつい車にクラクション鳴らしまくる事も
歌舞伎町のど真ん中で車を停めクラクションを鳴らしてきた後続車両に恐ろしい修羅の国の言葉で威嚇し黙らせる事も
携帯電話を何十台も持っている事も
たびたび中国人から封筒に入った札束を受け取っているのも
都内の数件のキャバクラは彼と一緒だと何故か料金が無料な事も
雑誌なんかで見た事あるモデルやら何やらの綺麗な子、しかもいつも違う綺麗な子を連れ歩いているのも
日に日に増える舎弟のような若者たち、彼に殴られたであろうアザだらけの顔で怯えきっている若者たちの事も
当初はひで〜な〜!でも面白いじゃん!なんて思ってたが、だんだんと何とも思わなくなっていったし、日に日に醒めた目で眺めるようにもなっていた。
湯水のように遣う金も、夜毎の乱痴気騒ぎも、毎回違う美しい情婦も、周囲に浴びせかける傍若無人ぶりも
彼の深く暗い心の闇を照らす光にはなり得ず、唯々都会の喧騒の中で空虚にこだまするだけに思えた。
しかしながらこうした市民社会のモラルから逸脱した日常を送る事でしか生を実感する事が出来ないんだろうな、決して心が満たされる事はなくとも。
そう考えたら彼っていつまで娑婆にいれんのかな?
‥なんて事をある日の昼下がりぼんやり考えてたら見知らぬ番号から着信があった。
警察からだった。
‥続く