リアルハードロマンチッカー弐
〜前回リアルハードロマンチッカー壱からの続き
お酒も進みだいぶ場も和やかになったところで気になっていた事をきりだした。
「△△さんって一体何者なんですか?」
‥我ながらいささか唐突過ぎるなとも思ったが探り探り身の上調査をするのは性に合わない、
だって何者なんだよこの人?って気になってしょうがなかったしね。
そんな私の不躾な質問にも彼は笑顔で答えてくれた。
「私ですか、私は某反社会組織(実際には組織名を出していました)に所属していた者です。破門になって女とも別れ、家も解約して車も売って20万円と拳銃だけ持って半年前に上京して来ました。」
ほう、なるほど〜面白いじゃないか!
何なら拳銃も見せて欲しいところだったがそれは言わなかった
実際見せられても困るしねお店の中で。
それから彼は酒の肴がてらには刺激的過ぎる生まれてから今日までの劇薬のような人生を語り始めた。
出自が在日◻︎◻︎人二世であること。
小学生から酒、煙草、博打、車の無免許運転、鉄パイプなど凶器を用いての喧嘩etc...悪事に手を染めていたこと。
そして彼の住む荒ぶる街ではそれらの行為を小学生がすることはさして珍しいことではなかったこと。
中学生の時、2人相手に橋の上で喧嘩をし2人とも半殺しにして橋の下に突き落としたこと。
そのような荒れた思春期を送るうちに鑑別所→少年院と不良のエリートコースをたどり、多感な時期の多くをそれらの施設で過ごしたこと。
出所後は当然のように稼業入りしたこと。
博打で負けて数千万穴を開けたこと。
某政治家の暗殺を企てたこと。
組織を破門になり20万円と拳銃だけ持って上京したこと。
上京したその日に新宿のヒルトンに泊まりデリヘルを呼んで持ち金のほとんどを遣ってしまったこと。
そしてほぼ文無しになって考えた元手要らずのビジネスが瞬く間に上手くいってしまったこと。
彼は欠損した小指で身振り手振りを加え楽しそうに私に話してくれた。
そして今、毎日湯水のようにお金を遣いながらも
すごく寂しい日々を過ごしてるんだろうなと思った。
まあそんな見え隠れする黄昏も霞むほど相当ヤバい話ばかりなのだが聴いてるうちにマヒしてきてすっかり普通の愉快な話のように聴こえるようになっていた。
そして明くる日から彼と行動を重ねるうちに到底普通じゃないことが普通のように思えてしまうような刺激過多な日々が待っていた‥
‥続く